『淡の間とわたし』
第14話
ecume de mer 前田夏子さん × 淡の間
淡の間が「いま話を聞いてみたい人」を毎回ゲストに呼び、対談を進めていくマガジン『淡の間とわたし』シリーズ。引き続き夏子さんのアーユルヴェーダに関する体験、大学時代のお話、そして淡の間による夏子さんの(濃密な)ホロスコープ解説タイムなど。ここだけでしか読めない2人のおしゃべりをぜひ覗いてみてください。
A:淡の間
M:前田夏子さん
A:今回のインタビューは夏子さんが人生で最も影響を受けたもの、そして今の夏子さんを形成する上で最も大事だったことって何なのかを聞いてみたかったんだけど、今のお話を伺えば、もうそれはアーユルヴェーダであり、蓮村先生との出会いだったり、それを通して夏子さん自身が学んだこと、体験したことが全てですよね。
M:本当にそうですね〜〜。
A:私もカウンセリングの仕事をしてて思うことがあるんだけれど、例えば「自分が好きなことを仕事にしたい」っていう方がいるとするじゃないですか。仕事にできる、あるいはそれで集客できるにはどうしたらいいかと私がそういう相談に対してアドバイスをするときは、アーユルヴェーダでもヒーリングセラピーでも、方法は何でもいいんですけど「それを通して自分自身にどんな変化があったのか」「どれだけ自分自身が生きた体験ができたのか」っていうのがすごく大事な気がしてるのでその体験の有無を確認するんです。
M:本当に、そうだよね。
A:それが、大きければ大きいほど自分の経験値が上がるし、結果的にそれの経験値が大きければ大きいほど内から溢れて止まらなくなるものだと思う。夏子さんの周りに集まってくる人たちは夏子さんのその生きた体験の重みが熱量というか、周波数みたいなものになって散らばっているそれをキャッチしてるんだろうな。夏子さんにとってのアーユルヴェーダの体験、経験の質の高さって、お客様の満足度とか今の夏子さんのお仕事の状態にそのまま直結してると思っていたから、それが聞けて良かった。
M:きっと大学時代に病んでいたところから、というのもあるのかな、と思います。大学生の時、とても大きな失恋があって、そこから病んじゃって、フランス文学とか、哲学、芸術に興味が向くようになって、いつも感情や世界の答えを見つけたいと思ってました。そして辛い時期に、芸術に触れることが救いと癒しになっていました。そういう世界に入って、すごく叙情的なものに触れ、なんて言うか、アーユルヴェーダって医学なんだけど、ちょっと詩的な部分があるんですよ。アーユルヴェーダの知識って自然の知性がベースにあるので神秘的で叙情的な美しさを含んでいたり、哲学学んだからこそヴェーダ哲学っていうものが自然に入ってきて答え合わせができるような感じっていうのもあったと思います。フランス文学にいったっていう流れも自分にとって大きい影響だったのかな、と思ってます。一般的なアーユルヴェーダのイメージって明るい原色みたいなイメージもありますよね。
A:確かに。
M:もちろんそういう明るい世界でもありますけど、叙情的で美しい好きな世界観とアーユルヴェーダに見出している美しい部分を融合させることができたのもフランス文学に触れた流れも大きいと思ってます。
A:あるね。大いにあると思います。夏子さんのホロスコープはこれまでも何度か読ませてもらったことはあるんですけど、それを踏まえて改めて(ホロスコープを)読んでみると多分すごく面白いからちょっと読んでもいいですか?今日(淡の間に)聞いてみたい質問として預かっているのがえっと、なんでしたっけ、(【今後の芸術活動について】)。
M:はい。芸術活動について。ちょっと、かなり、考えているんです。
A : (夏子さんのホロスコープを)何度か見ているとは言っても、正しい出生時間が分かったから度数がずれたんだよね。そして、4分ずれたことで、ASCが牡羊座から牡牛座になったんだよね。ここもすごく重要。ホロスコープで見るその人の人生の根幹とか人生の指標、生きる大きな目的、大義名分って太陽に現れるんですよ。だから、太陽の目的が活かされていれば、人生に充実感を覚えるし、活かされていなければ「私の人生って一体なんだろう」ってことになりやすい。ですけど、夏子さんと言えばやっぱり5ハウスの太陽がすごく活かされている人だと思う。5ハウスは芸術、創造、刺激の部屋だから。私は5ハウスのこと「ラブアンド ジョイアンド クリエイティブ」って呼んでるんだけど、5ハウスに太陽だけじゃなくて他の天体があれば5ハウス的なテーマはすごい大事。それが満たされない人生なんて全くつまらないわけなんですよね。
M:うんうん。
A:あとはホロスコープの考え方として、年齢期ってものがあるんです。今の夏子さんは1986年生まれだから、30代半ばから40代半ばの火星の時期を生きてるんですよ。火星が司るテーマは、該当する年齢期だけじゃなくても、その人のやる気とか頑張るスイッチとか、負けたくないっていう部分、あるいはその人の生命エネルギーや個性に直結するんです。生命エネルギー、つまり生殖って命に関わることだから、個体としての命を輝かせるためにどうしたらいいかというテーマを持っている。人間社会は、生物として社会での立ち位置がもはや争いじゃないですか?生き残れるかどうかの。そういう部分で考えると、他者と関わるだけでうだけでなく個性のスイッチになりやすい部分。結果、それが社会における仕事とか、活躍とかにも直結したりするんですが、その火星が夏子さんのチャートでは9ハウスっていうところに入ってます。9ハウスって、物理的にも精神的世界を広げていく探究の部屋なんです。まさに哲学とか「学びたい」と思ったものがより高じたっていう意味で言うと、専門性、宗教観、海外。または「出版」なんです。
M:ええ、すごい。
A:しかも135°っていうちょっとマイナーなアスペクトを持っている点も興味深い。夏子さんが学んだ精神性や哲学の世界、例えばアーユルヴェーダとするなら、それってまさに9ハウスの火星と海王星というスピリチュアリズムと芸術性の象徴が示す領域。形にならない領域をどうやって具現化させたり現実に落とすかっていうこと。「ただのスピリチュアル」ではなくて「体系化された学問である」っていうのが多分刺さったんだよね。他の人とのアプローチが違うっていうのが135°っぽいけど、それが5ハウスの太陽的には愛と芸術と刺激を求めていく中で繋がっていった。夏子さんにとっての少しメランコリックな恋愛体験や、フランス文学の叙情的なものにも通じてる、蟹座の水星も相まって。
M:なるほど〜〜〜〜!すごい。
A:水星が示すのは、どんなものを使って自分の思考が作られているか。何を伝えようとするか。蟹座が示すテーマは「共感・同調」だから、自分にとってより共感を覚える叙情的なものを使って知識教養を増やし、言語化する。人とのコミュニケーションの取り方なんかも共感性なんかが際立つし、関わり方にファミリー感とかが出やすい。でも全て総合して考えても、やはり5ハウスの太陽が輝かなければ、夏子さんの世界観にならないだなあと。
M:うんうん。すっごくわかる〜・・・
A:アーユルヴェーダとの出会い、あるいはフランス文学への傾倒っていうのもすごく9ハウス的だと思うんですけど。10代半ばから20代半ば、出版バリバリやってた頃、マハリシに入る前の夏子さんがすごく不安定だったっていうのは、このあたりのホロスコープ的要因が効いてるのかなって思ってる。12ハウスが意識とか魂の見えない領域だとしたら、6ハウスって体とか現実世界の見える領域なんですけど夏子さん、ここインタ―セプトになってて隠れちゃってるの。
M:うんうん。
A:隠れちゃってるから、より前に出てくることができない部分。だから20代の時って何が好きなのか、何が自分の幸せなのかが分からなくて、体のことなんか後回しで放っておいてた。天秤のバランスというか色んな比重が崩れてたんだと思うのね。
M:崩れてましたよ。もうぐっちゃぐちゃに。ほんと〜に自分が何ものか分からなかったの。
A:ぐちゃぐちゃでしょ?しかも、大きな風の三角形ができてる。グランドトラインっていう。しかも風だけじゃなくて、実は火のグランドトラインも持ってるんですよ。見て、六芒星になってるの。すごくない?
M:ええええ・・・!
A:でもこれって、火と風で出来てるから、結構男性性が強いんです。だからうまく意識して男性性と女性性のバランスを考えないといけないのがめっちゃ大事。
M:うんうんうん。
A:すごいホロスコープなんですよ。あとは、この「風のエレメントの強調部分」っていうのは、さっき夏子さんが言ってたヴァータ、つまり音とか耳とか神経にまつわる部分だとすると、そこがまさに良くも悪くも敏感になりやすいっていうのも出てる。
M:めっちゃその通りです。私はヴァータがすごく乱れやすい。ホロスコープにも出ているんだね〜!!
A:あらゆる情報にすごく弱くて、それがそのまま身体、健康面や精神面に直結するんじゃないかな。だから、どうやったら自分の中にある天秤座の資質、自分のバランスがぐらぐらにならないかを意識する必要がある。天秤の向かい側は牡羊座だから、客観性だけじゃなくて主体性。つまり「あなたがどうしたいか」「自分がどうしたいか」っていうのが凄く大切だし、牡羊座の支配星である火星は9ハウスにあるよね。だから自分にとっての哲学を得たことが、夏子さんの主体性を導く道具になって、その道具を使ってどうこの社会に貢献していくかっていう役割や個性に繋がった。そしてこのMCっていうポジション、例えるなら社会における看板みたいなことなんですけど、夏子さんはこれが山羊座だから、社会貢献、それも現実的な形のあることで社会に貢献していく。その結果ポジションを得る。そして、ちょっと言い方が難しいんですけど…山羊座の支配星は土星なんですね。土星って規律とか制限とか課題みたいな時間をかけてこそ人生の実りを与えてくれるものだけれど、いわゆる上下関係とか階級的なものにもなりやすいことと、やっぱり9ハウスに火星と海王星があるからやっていることがカルト団体っぽくなりやすいんですよ。良くも悪くも。
M:あはは。わたし、蓮村先生に、「君はね〜宗教とかいいぞ」って診察で言われたことあります(笑)。
A:そう。本当ね、宗教のね、代表みたいな感じなんだよね。
M:言われたことある〜〜〜(笑)。
A:そう。でも「カルト」について私が思うのは、文化って「カルチャー」じゃない?カルチャーって、カルト、要は信者が作ってるのね。だから夏子さんがやってることって、やっぱり1つの文化になっていくことだと思うの。
M:うわーーーん・・・。嬉しい・・・
A:宗教とかカルトとかって言うと、「うっ」てなるかもしれないけど、やはりそれはその人に集った信者たちが作った1つの文化みたいなものでもある。そして、それが夏子さんが射手座の土星を持っているものだから、その意識自体を解放することも人生の課題。今まではそのことにものすごく抵抗があったんだよね。カルトとか宗教みたいなものへの先入観や戸惑いがあって。でもそこで自分を押さえてしまうと本来の目的が果たせなくなるんだけど。でも夏子さんにとっての興味のある事、夏子さんにとっての関心を極めていく子とは、結果的に避けては通れなかったというか、そうならざるを得ないよねってことになっていく。さらに目的が明確になればなるほど、罪悪感がなくなっていく。なぜなら、それが夏子さんの喜びでもあり、自分の生きた体験になるから、その体験を誰かに伝えたい。それを伝えることで、自分が関わった人の世界を広げたいっていう自然な流れになるじゃないですか?
M:うんうん。
A:それでようやくアセンダントの牡牛座へ戻ります。牡牛座の支配星は金星。愛と喜び、女性性。それが夏子さんのアイデンティティであり、喜びが生まれることが幸せ、この世にある感覚的なもの全て体験したいっていう感じ。心と体が同じ場所にあるっていうことを自分が体験したからこそ、その喜びを広げたいって思う流れが自然に感じる。で、その流れに対して集まった人たちと共に夏子さんが伝えたいことというものが重なって1つのカルチャーになっていくみたい。
M:うん。すごくしっくりくる。幸せに生きる生き方だから、それが文化みたいにみんなに浸透していけばいいのになっていうの想いはすごく持ってます。なんだかコミュニティに入っている方や見てくれてる方は、教祖のように接してくださる方もいます・・(笑)
A:分かる。
M:「夏子さんが教祖様です」みたいな。なんかうれしいけど、うーん、なんというか実は私って宗教とやってる事、何が違うのかな?とハッと考えたことはやっぱりあるんですよね(笑)。宗教というものには、幼少期から抵抗を感じることもあったので・・。
A : でもこう言っちゃうと仕方ないけど、もうしょうがないんじゃない?こう出てると。
M:ね・・(笑)。宗教をやりたいわけじゃないけど、気づいたら、すごく好きになってくれてる信者のような方がたくさんいて、みたいな活動になってると思ったことはあります。
A:あと、宗教じゃなくて、やっぱ1つの文化であり、推しみたいなものなんじゃない?誰かにとっての。
M:はあ・・うれしい。なんか文化って言ってもらえてすっごい安心した。
A:文化であり推し。要はキリストもめっちゃ世界中に推しを作ったわけじゃん。戦争が起こるぐらいヤバイんだよね、カルチャーの力って、熱量が。その熱量こそが、やはり夏子さんの獅子座の太陽なんだと思うのね。人を熱狂させる力。
M:そっか。面白い・・・!ふきちゃんすごいね。
A:私これ前言ったよね。夏子さんって本当は男だって。
M:うんうん。言われた言われた(笑)。
A:そう。
M:覚えてる(笑)。
A:あ、でもその時アセンダントは牡羊座だったから、よりそれが強かったんだけど。(※以前カウンセリングした時は正確な出生時間がずれていました)牡牛座のアセンダントになったことで支配性が金星になったでしょう。金星ってヴィーナスだからアフロディーテよね。アフロディーテっていうのは、海の泡か生まれた女神、生死の泡。夏子さんの屋号の”ecume de mer”に繋がっていくんだよね。
M:本当にその話びっくり。”ecume de mer(海の泡)”は大学生ぐらいから気に入って、なにかと使ってて、独立する時には、実は違う名前にしようと思って蓮村先生にも相談をして。違う屋号にしようと思ってたんですよ。だけどなんか、どっかに行った時に、伊勢神宮だったかな・・?
A:その話、島根の出雲大社じゃなかったっけ?
M:そうだ。出雲大社。出雲大社に行った時に “ecume de mer” ってインスピレーションというか、神様の声??(笑)に言われて、ええ!ってなったんです。蓮村先生にも相談していて、デザインも進めてたけど、「やっぱりじゃあ、”ecume de mer” にしよう」って思ったのが、いろんなことに結果的に繋がることになった(笑)。
A:すごいですよね、本当に。
M:瞑想を日々やっていますが、アーユルヴェーダでは直感や自分の深いところから湧いてくる想念(インスピレーション)のことを、海の泡の絵を書いて説明していたりするんですよね。そして学生の時からも、海の泡みたいな細かい心の感覚をいつもヴィジョンとして感じていて。なので色々“ecume de mer”にも結びついていたなとか。要所要所で「この名前にしてよかった」って実は思ってたんです。
A:そうだね。でも誰しも夏子さんみたいに瞑想を頑張れば出てくるもんじゃなくて、やっぱり適性っていうのがあって。もともとこの12ハウスっていうまさに見えない領域の中に拡大と発展の作用を司る木星が入ってるから見えない世界に触れることが夏子さんの拡大発展に繋がるっていう。それが魚座の支配星である9ハウスの中にあるこの海王星の発展につながるから、お話を聞いていると全ての文脈が繋がっていくことは分かるの。でも、やっぱり12ハウスないしは海王星って、扱いが難しいんですよね。スピリチュアルな領域って、行き過ぎると、グラウンディングしづらくなるというか地に足がついてない状態になっちゃったり、神経が過敏すぎると精神的に不安定になってしまう。そのために夏子さんは、自力で自分を整える方法を得たっていうことが強さでもある。だからそんな風になりたいと思って、結局人が集まり、それが1つの文化になっていくっていう。この9ハウスの太陽と火星、ここら辺のこの135°ってマイナースペクトを活用して信者っていうかカルトを集めやすい影響力を得たってことになると思う。ただ好きでやってるわけじゃなくて、結果的にその熱に信者が集まってくる、みたいな。
M:うんうん。そうなんだねえ〜〜。
A:めちゃめちゃおこがましいけど、私も全く同じで、5ハウスの木星とこの9ハウスの太陽と海王星が135°になってるから似てるんですよね。そして夏子さんの山羊座の火星と私の太陽って実はコンジャンクションなんですよ。
M:ええ?すごい!!
A:だから、仕事の相性としては悪くないんだと思うんです、多分ね。
M:面白いね。ふきちゃんとは相性良いだろうなって思うよ〜〜。
A: よかった!お互いに良い影響を与え合えるwin-win になれたらいいですよね。じゃあ、随分遠回りしたけれど芸術の話に戻ると、むしろそっちの方がメインなんですよね、やっぱり。5ハウス太陽だし、12ハウス木星だし。他にも色々。
M:やっぱり?やっぱりそうなんだね・・!
A:そうそう。でもそれをやるための土台だったりとか、まあ言ったら道具を集めることに時間をかける必要がある。夏子ワールド、ないしは劇場みたいなものが必要で、それを作ってからやりたいみたいな。
M:わかる〜〜!そうなんだよね。実は、ワールドを作りたいんです(笑)。
A:あ、ワールド作りたいんだ。そっか。でも作った方がいいんじゃない?
M:作ろうかなと思ってて。というか本当に土台ができたから派生したい、展開したいって感じのことで。これはちょっとまだ皆さんに公に言ってないんだけど…
『淡の間とわたし』第15話へつづく。