2020.0422

山形の老舗『やたら漬け』が新型ウイルスの流行による経済影響で倒産したニュースは、首相の動画よりも志村けんの訃報よりも何よりもここ最近の事で1番落ち込んだ。

何故市が、県が、支えにならなかったのか。当然ながら私は何の力も持っていない。せいぜい出張の際にお土産を買っていく程度、自分ができる範囲での消費をするほか無かった。それなのに、心の中にある少しの思い出がよぎり、一日中仕事に手がつかなかった。

山形市が認定されているユネスコ芸術都市、その中核を支える2年に一度の山形国際ドキュメンタリー映画祭。山形が誇る映画祭の開催期間中に、夜の集い場として、やたら漬けの会場は『香味庵』として開放された。映画を見た後の興奮冷めやらぬ感想・思いの辿りつく場所。映画祭に関わるものなら誰にとってもなくてはならない集い場『香味庵』はこれからどこに行ってしまうんだろう。来年度の映画祭開催はそもそも、実現するのかさえ分からない。映像制作も作品の選述も例年よりも相当滞るだろう。私は山形国際ドキュメンタリー映画祭が大好きで、事務局の人たちや関わる皆さんを心から尊敬していて、映画祭が本当にずっとずっと無くならないで欲しいと心から思っている。一応ここ数回はボランティアでサポート参加している。
昨年の映画祭開催時、台風19号の影響で泣く泣く山形行きを断念した皆さんは2021年に香味庵で会うことを何より楽しみにしていたはずだと思う。現在『やたら漬けの訃報』を映画祭の事務局が何も発信していない。ひょっとしたら落ち込みすぎて、手につかないのかもしれない。それはすごく分かる。こんなちょっぴりしか関わってない私ですら相当キているからだ。

『香味庵』がない『映画祭』、考えただけで悲しくて涙が出てきた。本当はとっくの昔に、もう崩れかかっていたのかもしれない。私たちの知らないところで、ボロボロになりながら必死に立っていたものがある。1月に突然破産した大沼デパートだってそうだ。

死に際の祖父を思い出した。
生きていてほしいのはこちらのエゴで、死んだ方が楽になるに決まっている。苦しまなくて済むから。同じように、崖っぷちの会社だってプライドさえ捨てて破産して倒産した方が楽になるのだ。残っていてほしいと思うのは、こちらのエゴでしかない。毎日漬物を食べるわけでもないのに、たった2年に一度の楽しみのために延命治療をさせるのは、酷な話だったのかもしれない。そんな会社が、店が、今世界中にどのくらいあるだろう。手を離す勇気があるならば、とっくに離している。言われなくとも。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です